20歳になる年の夏の頃には、甘えに甘えまくり、もはや自分で決断ができないくらい迷走をしていた。
それもそのはず大学に行かないと決断した高校生がそのまま約5年間、何もせずにボーッと過ごしていたら、そうなるに決まっている。
困りに困った親も途方に暮れる中、最終的にはものすごい小さな一歩を踏み出した。
「勉強をはじめてみる」
最初に取ったのは、たまたま家にあった英語の本。
ローマ字からも数年離れていたため、それこそ「ABC」からのスタートだった。
書いてあることが、全くわからないのだ。
それを紙の辞書で調べた。
「Tough」
それが私が数年ぶりに触れた英語だった。
「Tough」の意味もわからなかった。
でも、楽しかった。数十年経った、今でもそれだけはよく覚えている。
それが20歳になる年の夏の始まりの頃。私は、大学受験に向けて、勉強を始めた。